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スピード治療の落とし穴

審美治療を標記する歯医者の中には、スピード治療を得意とするところがあります。

審美治療におけるスピード治療とは1日で治療が終わることを意味します。

ごく稀に、患者さんからも問い合わせがありますのでスピード治療の利点と欠点をお伝えします。

 

利点

□ 治療回数の大幅な短縮で、通院の手間が省ける

□ 気になる歯がその日のうちに改善される

 

欠点

□ 治療内容によっては数回通ったほうが良い治療を無理して1日で終わらせる

□ セラミックの製作に時間をかけられないので、精密で色合いの良いセラミックを作ることが難しい

□ 治療当日の治療時間が数時間に及ぶ場合もある

 

上記の欠点に関しては医院の方針や技術力で大幅にカバーできます。

ただし、私の経験ではスピード治療をした患者さんのセラミックで良い治療がなされていると感じたケースを見たことがありません。

忙しく、短期治療でないとスケジュールが取れない患者さんにとっては救いかと思いますが、あくまで時間ができるまでの仮の治療と位置づけした方が良いと思います。

 

多くのスピード治療は患者さんの歯の色に近いセラミックのブロックを機械で削りだして形を形成します。

その後、出来上がったセラミックに対して歯医者か歯科技工士が患者さんの歯の色に近づけるための処理を行います。

一見、すごい効率的に聞こえるのですが、当院ではその機械の採用は見送りました。

 

理由は2つあります。

1 適合がゆるい

2 色を合わせることが困難

 

一般的には、機械で削りだして作るセラミックは適合がゆるいと言われています。

この「適合がゆるい」に何が問題があるか?

色々な考え方があり、ゆるいから悪いわけではないと言われています。

適合がゆるいのは被せたり、詰めたりするセラミックとその歯との間の隙間が大きいことを意味します。

この隙間には接着剤が充満して隙間を埋めます。

そのため取れてきたりする心配は無いと考えられています。また、隙間にむし歯菌が入り込んでそこからむし歯になる心配も接着剤が防ぐと言われています。

ただし一般的には、「適合が良い」方が当然良いと言われています。隙間が少ない方が接着力、虫歯にもなりにくいとされています。

私は「良い」と言われていることを積み上げて、可能な限り「確実」に近づけることで、治療に対しての安心や患者さんとの信頼が築けると考えています。

 

また、色合いに関しては技術とともに才能も大きく関わってきます。

天然の歯の色はただ白ければ良いわけではありません。

いろんな色が少しずつ混ざってできた「白」なのです。

それを再現するためには技術と才能を兼ね備える必要があり、私はそれができる歯科技工士を名古屋では1人しか知りません。

 

あくまで私見でありますが、治療期間を短くして便利にした反面が、患者さんにリスクを背負わせるようなら私はその治療法は採用しないほうが良いと考えます。

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