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コラム
こころを癒す治療を目指して

2016/05/21

なぜ、この診療スタイルになったの?

勤務医時代に見学に行った歯医者さんでの出来事の話です。
通常、多くの歯医者さんでは診療台がパーテーションで仕切られていて、診療台の間隔も結構近いですよね。
患者さんが歯の悩みを先生や歯科衛生士に伝えている話がまる聞こえ、機械の音やBGMで少しは紛れますが、それでも聞こえることには変わりないです。
たまたま、見学していた診療台の患者さんは長く通っていた方だと思います。
先生との信頼関係も良い様に私の目には映りました。
その患者さんが突然、「先生、俺死にたいよ」と言い出したのです。
その一言を聞いた瞬間、ただ事ではないと感じた私は、できるだけ自分の気配を消して二人の会話を聞くことにしました。

患者さんの男性はアルツハイマーの診断を受けたそうです。
カルテでは80代の前半でした。
このままボケていくのが怖くて辛いと言っていました。
先生も無言で話を聞き「死ぬなんて言わない」と諭していましたが、スタッフから他の患者さんが待っていると急かされ、「もっと話ができなくてすみません」と言って他の患者さんの治療に向かいました。
その患者さんは定期検診だったためその後に担当した歯科衛生士に歯のクリーニングをしてもらい、そのままいつもの様に歯科衛生士に促されて受付に帰っていきました。
そのことに気付かないまま、先生は忙しそうに多くの患者さんの治療を行っていました。また、その患者さんの事情を担当した歯科衛生士も知らずにいつも通りに治療を終えたのでした。
一度限りの見学だったため、その後どうなったのかはわかりません。
ただ、私には衝撃的な出来事でした。
その歯医者さんのシステム不備とかでは片付けられない内容だと思いました。
信頼関係があるにもかかわらず、診療スタイルによってその信頼関係に水を差した様に感じました。

数年後、自分が開業する時期になってもあの見学に行った時のシーンが忘れられませんでした。

結果、患者さんとの信頼関係を築きその信頼関係をいかに継続させていくかが重要だという結論に至り、完全個室で診療台は2台にして治療時間は余裕を持って1時間という診療スタイルになったのです。